書生は所詮、小生と称せん。

日々のなにがし、ときどき旅行記。

【感想】旅のつばくろ

沢木耕太郎の旅のつばくろを読みました。

一緒に「イシューからはじめよ」も購入したのですが、こちらはなかなか身が入らずまだ読めていません。

こっちの方が仕事のこととか考えると先に読んでおく気もしますが、楽しい方は優先してしまうのも仕方のないことかと。

 

この書籍は、JR東日本トランヴェール掲載の著者の国内旅行のエッセイをまとめたものだそうで。

正直なところ、東北新幹線とかに乗っている時には流し読みの感じで、それほどグッときませんでした。

おそらく、東北新幹線に乗る時ってだいたい腰を入れた旅行だったりしたので、行き先での楽しみだったり、帰路の疲れが上回っていたからかなと思います。

しかし、ニュースアプリでサンプル公開されていた話(岩手の話と竜飛崎の話だったと思います)を読んでみると、とってもいいなと思ったので早速Kindleで購入してみました。

私も国内47都道府県にはすべて旅行で訪れたこともあるのですが、知っている情報もあれば新たな情報もあったりして、懐かしい気持ちと新鮮な気持ちで読むことができました。

特に、著者のその土地が自分にとって点であるか面であるかという捉え方には、自分がこれまでうまく言語化できていなかった部分をはっきりと表してもらえた気がしました。

すべての都道府県を回ったとしても、まだまだ行ったことのない場所もたくさんあり、とてもでないがその土地を面として捉えられた土地は、住んだことのある土地でない限りほとんどないと思います。

それこそ、自分が居を構えたところ以外で面としてその土地を捉えられたところがあるとするならば、遠距離恋愛をしていた際に頻繁に訪れていた交際相手の家の周辺くらいでしょうか。

そのように思うと、まだまだ国内旅行も単純に新たな場所に訪れる楽しみ、再訪する楽しみが山積されているように思えて、ますます今後が楽しみになります。

そして、著者が過去に訪れた土地を再訪した際に、過去との違いを感じている様を読んでいると、旅行には横の軸(土地としての軸)の楽しみだけでなく、縦の軸(時間の軸)を楽しみもあるのだなと再認識しました。

これまで、「若いうちに国内旅行よりも海外旅行を先にしておくべきだっただろうか・・・」ということは何度も自問自答していたところであるのですが、若かりし頃に縦の軸に楔を打ちこめていることは、それはそれで価値のあることだったのかなと、この本を読んで思えます。

 

この本を読んで、著者の語り口がとても面白く感じたので、現在は同著者の「深夜特急」を同じくKindleで購入して読み進めています。

旅行者必読の名著と呼ばれる本書ですが、なかなか手を出せていなかったので、これを機に楽しんでみたいと思います。

(イシューから始めよを読み始めるのはいつになることやら笑)